「ゴクテーク」石灰岩の断崖
「 ハ号 」作 戦
一九四四年一月三〇日より「ハ号」作戦に参加する。
英軍第五師団・第七師団をやっつけて、敵の物資を分捕る戦いである。
二月三日午後十時「プチドン」東方平原より桜井兵団・丸亀歩兵第一一二聯隊・騎兵・
山砲・工兵・が主力、六列縦隊で北進する。目指すは二〇キロ先の「トングバザー」で
ある、途中敵の通信ケーブルが数十本束になって東西に横切っているので、これを全部
切断して進んだが、余り抵抗もなく明け方「トングバザー」に到着する。
野戦病院らしくペットが並べられていたが、我々が入った時には人影が見当らなかった。
十時過ぎに大編隊の飛行機が上空に飛来してきた。時期も又爆音も少し違うと思って空
を見上げると日の丸を付けた友軍機である、ビルマ作戦以来友軍機のこんな大編隊は見
た事がない、とても頼もしく思った、しかしその時地上からの高射砲が数百発と炸裂し,
見る見る空が真っ黒く成ってしまった。
この時私の頭の中にはこれは大変だこんな山の中で、そして第一線にあれだけの対空火
器の準備が出来ているので有れば、地上の装備も相当なものであろうと想像した。