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「タンザビア」泰緬鉄道で使用していた機関車

  帰 還

一九四七年二月二八日,内地帰還のため、「ミンガラドン」を出発「アーロン」に到着 する。 いよいよ内地に帰れる事が出きる、帰国準備で忙しく成ってきた。
三月八日八時、「アーロン」を出発し、十二時「ラングーン」埠頭より乗船したが、この
時戦犯者として途中から降ろされるのではないかと心配して、皆の中に潜り込む様にし
て乗り込んだ。
先発帰還者の中には乗船の際に戦犯者が発見され、途中で降ろされた者も居るとの事で
有った。
何の事故もなく無事午後五時ころ出航した。ビルマよさらば、もう二度とこの地を踏む
事はないだろう。
足掛け六年の歳月、亡さ戦友よ安らかに眠れ、シュエダゴンパゴダが夕闇に次第に小さ
く成っていく、さらばビルマよ.感慨無量である。
船は英国の貨客船でエンバイヤプライズ号、設備はなかなか立派だ。ベンガルの海を南
下してゆく十日もすれば祖国日本に帰れるので。皆の気分も大分落ちついて来ている。
マージャンをやる者、こつこつ編物をやっている人、夕方に成ると甲板に出て夕涼みを
する者も多い。