メコン河の夕暮れ。対岸が中村小隊が渡河に従事した「ブレークニュータリ」
「 メコン 」河
メコン河畔 一九四一年十二月十二日から十二月三〇日
中村小隊は「ゴトーハ」「ブレークニュータリ」間に於いて、師団糧秣交付所の警備、
並びに「メコン」河の交通整理に従事せよとの命令を受けた。
「サイゴン」ょり「プノンペン」に向かう道路は完全に舗装され「アカシヤ」の並木も立
派で実に素晴らしい。両側の「メコン・デルタ」は果てしなく広がり一面の水田である。
(一九九三年一月「ホーチミン」(サイゴン)より「プノンペン」へこの道をバスで通っ
た。昔より道が悪くなつているが、五〇年を過ぎて再び此処を通り感慨無量涙がこぼれ
た。両側の景色は何も変わらず、稲を刈っている所もあれば、黄色く稔っている処、ま
た田植えをしているところも見られる。日本の様にやれば今の何倍いやそれ以上の収穫
があるのではないだろうか。)
「メコン」河右岸の部落はずれに天幕露営する事になった。乾期のため雨は降らないが毎
日一度スコールが来る。水浴には河の水では余りにも汚いのでスコールを浴びるのが最
高だった。だから,石鹸をつけて待っているとい、つこんな繰り返しを毎日やった。
河巾は一キロ位で船はトラック四台を乗せるのが二はい、二台を乗せるのが二はいで往
復を繰返している。多い時には一キロ以上も船待ちとなる。