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「カンボジア」「プノンペン」王宮

  ・・「 メコン 」河

渡河点の横は部落の水汲み 場,水浴場でひつきりなしに娘さんが来る。河の中にそのまま入って行くがスカートは
次第にまくり上げ最後に頭上で鉢巻にして水浴をしている、ついでに小便も大もやって
いるらしい。水浴も終って持ってきた壷に水を汲んで頭の上に乗せて帰って行く。此処
ではフランス人の娘さん達も渡河の待ち合わせで見られた。
部落の人たらは戦争が始まっているとか、日本の兵隊が大勢通るとか、余り関係ない普
段の生活振りの様に思えた。今住んでいる土地がいつ戦場になるか分らないのに、安南
人にとっては戦争は他人ごとの様だ。長い間植民地として異氏族に統治されて来たため
か、南方民族特有の陽気さだろうか。
壷の水は明礬を入れて澄まして呑んでいるらしい。小魚を捕るには,小舟の前に三角の
網をはって、前方を河の中に入れ上流に向かって舟を進めると、小漁がボンボンと舟の
中に飛び込んでくるという漁法をしている。うまく考えたものである。夕方になると二
米くらいの大さな魚を、肩に担ぎアスファルト道路をぞろぞろと引いて帰る安南人の姿
がみられる。
中村小隊は任務を終了して本隊に追及する事になった、十二月三〇日頃だったと思う。