19 「トングー」攻略戦
「トングー」近くで二小隊中村隊は中隊に復帰し、岡根分隊も 中村小隊の指揮下に入った。「トングー」は城壁に囲まれた街で、 守備に当っているのは英印軍でなく重慶軍である。案の定、敵は頑強に 抵抗して一歩も退かない。こうなると工兵隊の出番で城壁爆破の特攻班を 編成され、我が小隊からも長曽、吉林班がこの任に当った。 そのほか工兵隊は爆薬投擲機を使用して五キロの爆薬を敵陣に向って 打込んだ。夜も明けて朝の太陽が強く輝き始めたその時、敵陣で砲弾が 炸裂して山は裂けんばかり、辺り一面真っ暗く成った。 余の激しさに友軍にも損害が出はしないかと思うほどだった。これが応援 に駆けつけた、野戦重砲第三聯隊の十五榴による砲撃であった。 三月二九日遂に「トングー」は陥落した。
マンダレー