前へ 目次 次へ


「モールメン」のコテージホテル

  「 キャウキ 」到着 終 戦


 「キャウキ」で歩兵団指令部と合流する事が出来たが、歩兵団指令部は前述の様に
「テンガンビン」で若労し「シッタン」の渡河は八月十三日までかかり、八月十五日、よ
うやく「キャウキ」に到着している。装具は流され裸のままの状態でたどり着いたよう。
此処に第五四師団師団司令部以下逐次集結した。シャン山系を経由する計画が変更され,
マダ河東岸を「シュエヂン」を目標に南下するする事になった。第一梯団は歩兵団司
令部・工兵聯隊外.第六梯団に分かれ各梯団は一日の間を置いて出発する事になった。
八月十九日、「イワガレ」西方一〇キロの地点より出発した。師団は八月二一日「カニ」
でようやく終戦の情報を聴いた模様である。各兵団は「シュエヂン」に至るまでの行軍
に、多くの落伍者をだし、その状況は誠に惨憺たるものである。体力も気力も尽き果て
た者にとっては、ただ休息のみが願いで、この場合休息が直ちに死に至ることが判って
いても、戦友の眼を逃れて落伍していく。身を横たえると、立つ力もなく静かに眠り、
ただ死期の訪れをまっている。
終戦の言葉を聴いて張りつめた気持はにわかに緩み露営地に残ったものは、大部分その
まま息を引き取ってしまう。